たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

『エマ』という現象

小説版エマ(asin:4757722095)を入手。まださわりだけですが,読みはじめました。この本と,いま放送しているアニメ版(英國戀物語エマ)という風に急速にメディアミックスが進む「エマ」ですが,観ていて非常に心地好く思うのが,これらの二次作品が非常に原作の世界…というよりむしろ原作者森薫女史がみてる世界を忠実に現わそうとしている点です。
ポイントは森女史が好むヴィクトリア朝時代を忠実に描こうとしているのではなく,あくまでも森女史のみてる世界であることです。森女史は当時のことが大好きでいろいろ歴史的なことも調べていますが,決して歴史に忠実な時代劇を描こうとしているわけではありません。彼女は彼女なりの「萌え」があり,それを織り込んでいるわけです。ですから彼女の作品の空気が再現できているのは,決して歴史に忠実に描かれているわけではなく,彼女のこだわりに忠実に二次創作物がつくられているということです。そうです「そこが大事なのです」*1が伝わっているわけです。
…というわけですごいなぁ…と思うのでした。スタッフで世界観が企画されたわけではありません。森女史が一人で熱く思いをよせた世界に多くの人が共感し,アニメや小説や副読本をつくっているのです。…なのでそれぞれが非常に丁寧なつくりになっていて,それゆえに原作ファンは失望しないし,原作を知らない人にもその丁寧さが伝わってきているのでしょう。
原作が良くて他のメディアになった作品はいろいろありますが,ここまで作者の「好きなものへのこだわり」が忠実に守られている作品というのは少ないのではないのでしょうか?。そうい意味では,エマのメディアミックスはちょっと珍しいケースな気がします。森薫女史の力を感じさせます*2

*1:原作のあとがきに出てくる森女史の口癖?

*2:原作のあのあとがきにみんなやられているんではないか?…という気もしますが