終わってみて一言で言うと「やっぱりユーフォーテーブル作品だった」ということです。ユーフォーテーブルは,ドッコイダーとニニンがシノブ伝と両方みて,それなりに好きな作品ですが,つまるところユーフォーテーブルに,緻密な設定,矛盾のない脚本,暗喩,ストーリ等を求めてはいけないという事でしょう。逆に言うと,それらの制約を外しているからこそ,派手な演出,ギャグ,扇情的なシーン挿入,新しい表現実験等を徹底的にやることが出来る,それはそれで一つの最先端として十分に機能していると思うし,実際そういう作品だったと思います。そしてそれに加えて技術の高さもあります。それにしても今挙げた三作品絵柄とか色調とかが全部異なってるのはすごいと思いますが…。
そういうわけで,エンターティメントとしては十分に楽しめました。双恋という萌え設定を使いながら,主人公である成人男子と町内会の人々とのやり取りを描いたのはなかなか試みとしてチャレンジングであったと思います。最近,これだけ大人の男がグダグダ喋る作品ってないですよ。おっさん,おばちゃんが味を出す作品ってそんなに無いですよ。そういう意味ではむしろ沙羅,双樹以外の双子は全く不要(るるとららは除くが)で,彼女らのエピソードがなければ,もっと統一感のある作品になった気がしますが,作ったスタッフも「駄目って言われた」というように,やっぱり他の双子は蛇足ながら加えたって事でしょう。まぁそういう意味じゃ,なぜ双恋でこれをやる必要があったのか?…って気はしますが,それはやっぱりユーフォーテーブルなんでしょう。ドッコイダーとシノブ伝では原作の設定はそのままで演出でブッ飛びましたが*1,フタコイに関しては双恋という作品の「オルタナティブ」をやるということで,設定その物を引っくり返すというチャレンジだったのかも知れません。
そういう意味でいうと,基本的にはユーフォーテーブルのそういうチャレンジは支持します。原作・元作のキャラをいじられるのが嫌な人にはきつい作品だったかも知れませんが,わたし自身はあまりそれはないし,単純に映像的には楽しめました。恋太郎のうじうじしたところはちょっとウザク感じましたけどね:-p。
まぁそういう会社ですよね。ユーフォーテーブルって。決して本流ではないけど,ゲリラ的にわたしを楽しませてくれます。ですので,また何か作るとしたら,きっと期待すると思いますよ。