たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

スピードグラファー

以前スピードグラファーの全体を評したときに小説がまだ未完なので,その時改めて…と書いたと思います。ようやく小説版の最終巻「スピードグラファー 3 (3)」(isbn:4150308292)を読んだので…。
小説版ですが,大変おもしろかったです。小説版を読むとアニメの中で張られていて気づかなかった伏線に大量に気づきました。特に神泉からみの話は多いです。例えばアニメ上でも水天宮の腕が神泉の思い人(小田原)の手であることはわかってましたが,神泉が水天宮に乳を揉まれて喜んでいたのは,無意識に小田原を感じていたからというわけでした。アニメだと単なる淫乱にしか見えませんが,そんな単純な話ではなかったようです。あと神泉のパトロンを水天宮が殺すシーンがあったと思いますが,実は水天宮の父親を破産させて神谷(後の総理)が取り立てに行ったというエピソードにおける黒幕がそのパトロンだったそうです。そんな話全然気づきませんでしたよ。他にもたくさんあってこういうエピソードを積み重ねるとアニメ中はトンデモであったキャラの行動がかなり納得のいくものになります。
それから,アニメ版と小説版で大きく違うのが,小説版ではユーフォリアの数が少ない,そのかわり上記のような各キャラの過去についてかなり詳しく書かれてます。特に2巻における水天宮の過去はたった一回で語られたアニメと違い,2巻の多くのページを使って語られていて,傭兵時代にどういう苦労をしたかが詳細に書かれていて,完全に読者を水天宮に引き付けることに成功してます。
さて最終巻である3巻では落合議員のところから最後のクライマックスまで一気に書かれてますが,意外にも3巻での展開はアニメ版とは若干違ってました。最終的な終わり方は同じと言えば同じですが,誰が誰に殺された…とかいう描写は結構違っています。アニメ版の不自然な展開を修正したともいえますが,アニメ版は最後の数話でかなり盛り上がったので,そういう必要あったのか?…とも思います。
あと,後日談が結構違います。まぁ確かに言われてみれば,小説版の終わり方の方が正しいのかなぁ…という気も…。
…というわけで,小説版を読んで思ったのは,企画や作品プロットはアニメ版と同じことから,アニメスタッフがきちんと設定していたということでしょう。しかしアニメではその伏線を張っていながらも視聴者に存在すら気づかせられなかったというわけで,演出が伏線を活かすことが出来なかったということでしょう。そういう意味じゃアニメ版は序盤から中盤にかけては非常にもったいない事をしたのだなぁ…と思います。まぁアニメ版ではエログロに力を入れすぎていて,小説版ではそれをかなり薄めた分,そうなったのでしょうけど,個人的には小説版を読んだときのような印象でアニメが終わっていたら,かなり高い評価を与えられたのに…と思います。
…というわけで,小説版お勧めします。まぁアニメを見た人が読んだ感想なので,小説単体としてどうなのかは良くわかりませんが…。