たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

プラネット・ウィズ 全体の感想

全体を通しての感想を書いてなかったので書いておく。実は再度全話見なおしていた。
本作の原作者でありシリーズ構成もしている水上悟志氏の漫画は私は以前から読んでおり,高く評価していたので,本作も始まる前からかなり期待していた。そして始まってみたら,ネットでもかなり良い評価を放送中から受けていたように思う。自分としては期待通りだったといえる。
それにしても本作は水上氏がネーム原作として完全に描きおろしたものである。こういう形態は珍しいのではないだろうか。通常は漫画家の場合既存の原作を使うのがほとんどだろうし,オリジナルの場合は脚本家が描くとか,漫画家の場合はプロットを示すという風になるのではないか?。漫画家は通常一人で物語を構成する。ネームの場合,脚本というよりむしろコンテに近いのではないだろうか。なのでかなり作品の骨格の部分まで一人の人が作り上げることになり,その人の能力がたかれば,作品の一貫性やバランスは良くなるだろう。一方漫画家は通常連載で漫画を描くので,一つの作品も途中で読者や編集の反応により,方向が修正されていくものだと思う。そういう意味で言うと,水上氏が今回どういう形態でネームを完成させたかわからないが,連載でもなく,非公開でTVでいう13話分描いたかと思うと,すごい能力だと思う。漫画の方はこれまでも,壮大に話を広げ綺麗に畳むとか,熱い展開で感動するとかいろいろ言われるが,ここまで水上氏の能力が高いとは旧来のファンである自分も思わなかった。
さて,全体のストーリとしては一人の人間が描き上げたものだから,実に綺麗にまとまっている。13話,途中でだらけることなくスピード感も十分で毎回盛り上がり,密度の高い構成になっていたと思う。通常だと2クールあってもおかしくない様な展開だった。それゆえに見てる方は高いテンションで,物語に引っ張られていくのだけど,全体をもう一度見直すと,案外説明をはしょってるところもあったように思う。多くの伏線は綺麗に回収されているが,あまり説明せず,わかるでしょ?で終わってるものもあるのではないだろうか。
ストーリについて。前半から後半に話が展開していく中で,実はちょっと不思議に思ったのは,封印派は何をしたくて竜造寺をけしかけていたのだろう?ということ。つまり白石をなぜ竜造寺の秘書をしていたのか?。そもそも竜造寺はいつ力に目覚めたのか?ということである。これはおそらく封印派は力ずくで地球を封印するのではなく,地球人と戦って,地球人が敗北したので封印したという体裁をとりたかったのだろう,と想像したが,あまり明に説明されていない。地球人が力を持つことは後に明確になったが,竜造寺は本来は竜の化身だから地球外のものであり,それによってけしかけられ力を得たのに封印されるとは,かなり理不尽である。そして穏健派である先生と銀子も目覚めた能力者から竜の砂を取っていただけ。グランドパラディの連中が封印装置を壊せなかった場合,どうするつもりだったんだろう?。封印を黙認するつもりだったのだろうか?
キャラの立ち位置が徐々に明らかになり,戦う相手が変わっていくというのは水上氏の漫画ではよくあるのだけど,その変化を巧みにやっているので,素直に受け止めてしまったが,改めて考えると,当初の封印派と穏健派の狙いは良くわからない,という気がした。
上に書いた様な想像が当たってるとすると,結構ネビュラってひどいことするな,という気がする。お話は宗矢もネビュラに入るとか,ネビュラを良いものとして描いているように見えるが,良く考えると彼らがやってることは相当に生臭い。ついでに書くと永遠の民も弟を成仏させるために宗矢を利用したりとか結構生臭い。肉体をなくし悟った様な存在かと思ったら,そうでもない様に思う。
おそらくこの辺の生臭さは意図的に描いてる様な気がする。ネビュラは宇宙の連合体なので,まぁ国連みたいなものだろうけど,そういう組織にはそういう生臭さがどうしてもでてしまうというか,現状それ以外に秩序を保つ手段がないということなのかもしれない。
あと肉の話。銀子が肉を食べないから宗矢も肉を食べられなかったようだけど,その後どうなったんだろう?大学とかに行ったことを考えると,外で食べてるんじゃないか?という気がする。肉を食べたらどうにかなるのか?という風に思わせたのはブラフだったんだろうなぁ。あっ銀子たちの収入ってどうなってたの?
ところで,本作はアワーズで水上氏本人が漫画連載中である。まだ前半であるが,現状はアニメと同じように進んでいる。今後どうなるんだろう?。アニメが完結してるのを追うように連載するのか,それともさらにアレンジしていくんだろうか?。そちらが楽しみである。