たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

忘却の旋律 24話 (最終話)

リアルタイムで観た。一番驚いたのは,番組の直後に「モンスター」という映画の宣伝が入ったことか?。

いつもの忘却の旋律の語り,ちゃかす突っ込みをいれるアルコトナイコトインコ。地上におりてきたボッカはソロに拾われ,美少女牧場へ行く。そこにはモンスターの生け贄に出される少女が皆の祝福をうけていた。しかし彼女は玉転がしに玉にされてしまう。ボッカは戦うが弓がない,そこに人間化したエランビタールがやってきて弓を渡す。穴に落ちていく玉転がし。そして穴に入っていくボッカ達。そして地球の中心に降り立ったボッカは,そこにある棺の中に忘却の旋律肉体を見つける。ソロと対立するボッカ,そこに小夜子が現れる。アルコトナイコトインコは実はソロの腹話術だったことが露呈する。ソロはボッカに仲間になるように誘うが,ボッカはエランビタールにのせ二人でバイオコツェルトし,脱出する。ソロに終われ太陽の下に出たボッカ。二人は向かい合い矢を構える。そのときお互いの恋人を助けるために,ボッカの前には小夜子が,ソロの前には忘却の旋律が立つ。小夜子は矢を受けるが,ボッカの矢は忘却の旋律の体をすり抜け,ソロに届く。そして以前と同じように社会は動く。そして新たなメロスの戦士たちも生まれはじめる。ボッカは相変わらずメロスの戦士をやっている。小夜子と一緒に。世界を貫く矢のように。おしまい。

忘却の旋律はソロの恋人。もしボッカがモンスターキングになれば小夜子が忘却の旋律になる。
以前ホルと黒船の決闘の場にいた少年がエランビタールでした。
結局モンスターキングはいなくなったのかどうかは良く分かりません。そして社会は以前と同じように子供をモンスターへの生け贄として差し出すままです。まぁそうかもしれません。モンスターが仮に「システム」だとか「社会」だとかすると,現実の我々の社会自体が,それをうまく飼い慣らしているとは言えないし,システムに犠牲になる子供は現実にいるのですから。アニメでそれを解決できるわけはありません。ただそれに逆らう人達もいるという事で。
ソロ以前にもモンスターはいて,しかしソロがモンスターキングになったので20世紀戦争が起きたのであれば,実はソロこそがモンスターキングでありながらモンスターを制御できなかった,もしくはみずからの望みのために,それを暴走させてしまったのかも知れません。そうであれば以前「自分なりに人間を守っている」というのは嘘というか間違いになります。今回ソロはわりと悪っぽく描かれていて,ソロが諸悪の元凶の様にもとれました。忘却の旋律の語りを茶化していたのも結局は彼だったし。
実はソロが一番「大人になる」ことを拒否していて,それゆえに自分の恋人が歳を取ることを拒否し,そして永遠の場に身をおいていたのかも。恋人(忘却の旋律)を理想化永遠にするために封じ込めた気がする。忘却の旋律の死体(?)の顔は描かれてませんでしたが,フケていたのか気になります。
もしかしてソロは忘却の旋律の名前を忘れてしまったのかも知れません。だとすれば忘れた旋律は忘却の旋律(恋人)の名前か?。そして最後,それゆえにソロはボッカにやぶれたのでしょうか*1?。
ボッカはメロスの戦士を続けながら小夜子を連れ旅をします。小夜子が今後歳を取るのか気になります。もし小夜子も歳をとらないのであれば,それは新たなメロスの戦士という事になるのだと思うけど。
社会は同じようにそこにあります。そしてまたメロスの戦士は生まれます。しかしソロがいないのであれば,ソロの恋人たる「忘却の旋律」はいないわけで,そうであれば新たな戦士は誰を観るのでしょうか?。もし傍らにいる現実の人を観てそこに旋律を奏でるのであれば,それは新たな戦士の形をボッカが産み出したことになるのかも知れません。
余談。美少女牧場,そこは乙女の園。聖様のたとえ通りだ*2と思いました(笑)。
[追記]
シリーズ全体の感想は後日別項に起そうと思いますが,一つだけ思ったことを忘れないように…。
上に「忘れた旋律は忘却の旋律の名前」と書きましたが,それは彼女のことを指しているのではなく,「人々は愛する人の声や名前を忘れてしまった」という意味です。モンスターに支配された人々は,地位や名声やお金に縛られ,(エルの父親を除くと)あまり愛する人を求めているように思えませんでした。メロスの戦士は忘却の旋律が見えましたが,愛する人が別にいたのかは不明です。TVに登場した戦士は黒船とボッカとココと遠音の四人で,黒船は奥さんを置いて一人で戦っているし,遠音は許嫁から離れてアイバーマシンを愛しているし,ココは家族を失い,同じくマシンを愛している。ボッカだけが唯一恋人を連れて戦っていたように思います*3
もしメロスの戦士が愛することを断念して戦うこと(ボッカもその葛藤があった)を決心していたのであれば,彼ら戦士の共通の恋人として忘却の旋律がいたのかもしれません。そして仮にあの最後をソロが死んだと解釈すれば,忘却の旋律もいなくなったのでしょう。だとすると新しく生まれるメロスの戦士はどの旋律(誰の声?,誰の名前?)を聴くのでしょうか?。最後に小夜子が「メロスの戦士に惚れる哀れな女の子が生まれる」と言ってます。もしかしたらソロがいないあとのメロスの戦士は常に恋人を従えて目覚めるようになったのかも知れません。だとすれば,ボッカの勝利により,戦いは終わらなかったが,メロスの戦士は新たなステップへ進化したともとれます。
もし人々が忘れた旋律が「恋人」であれば,つまりは「人と心を通わせること」とも言えます,「愛」とも言えます。そうであれば「社会」というモンスターから解放されるには愛を諦めるのではなく愛を取り戻すことでしょう。そして新たな戦士は自分の愛を育みながら愛を取り戻す段階に入ったのかも知れません。
結局「愛」と「社会」がテーマだったのかな?…とも,ふと思ったりもしてます。

*1:最後まで忘却の旋律の本名が呼ばれないのが気になりましたので

*2:聖様はやぐされていた頃,リリアンを「天使たちの牧場」と言っていた

*3:というかボッカが愛を自覚するのがこの物語だったとも言えます