たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

クロムクロ 全体を通して

P.A.WORKS岡村天斎と組んではじめて作るロボットアニメという触れ込みだったと思うが、素晴らしいものができたと思う。P.A.WORKSらしい各キャラクタの細やかな心情の描き方、美しい背景(土地柄)の描き方がロボットアニメの中でも見事に描かれ、ちょっと普通のロボットものとは毛色の違うものになっていたと思う。しかし岡村天斎の力量でしょうがしっかりとSF色のある真面目なロボットものになっており、決してロボットを使った萌えアニメではない、というか全体的に萌え色は極力落としていたように思う。
SF設定は魅力的でロボットのアクションも良かったが、やはり由希奈と剣之介を中心としたキャラクタのふれあいが中心だったように思う。学生のみならず大人たちの心情も細やかに描かれており、破天荒な設定なのに実にリアリティのある世界観が描かれたいたように思う。最近のロボットものは、どこか架空の世界を舞台にしたようなものが目立つが、この作品はちょっと未来の日本という実にリアルな舞台を使っており、それゆえに各キャラの言動が、地に着いたものになっていたのだろう。このようなスタイルのロボットものの成功例を示してくれたのは大きいと思う。
ちょっとだけ不満だったのは、最終回で由希奈が剣之介に置いて行かれた後、すぐに5年後を描いたので、その間の彼女の成長が描かれなかったということ。第一回で彼女は進路も決められない優柔不断な女子学生として描かれていたことから、そこから一念発起して最初の宇宙船に乗りこめるところまで成長するところは描いてほしかった。まぁいろんなところで彼女自身の変化は多少は描かれてはいたのだけど。
あと、キャラが多い割にうまく回せていたと思うが、茅原は最後まで好きになれないというか理解できないキャラだった。ハウゼンの息子というあたり、どこかおかしな人なのかもしれないが、ワームホールまでついていこうというところは、その前に結界の中で電波が届かないとやる気をなくしていたあたりから、あっちいったら同じ状態になると思わなかったのだろうか?。頭が悪いキャラではないと思うのだけど、ここだけ納得いかなかった。あと赤城は役割はわかるのだけど…、。
剣之介と由希奈が惹かれていく流れは恋愛というより、家族から同僚になり…という感じで、妙にラブラブしてないのにしっかり信頼し合っているという感じがして心地よいものだった。これは由希奈のキャラクタにもよるんだろうけど。
ということで、実に良い作品を見せていただいたと思う。感謝します。