たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

CD輸入権問題,今日の分,その2

http://d.hatena.ne.jp/solar/20040518#p1
「音楽CDにおける「輸入権」導入、出版界における「貸与権」導入、そしてネットにおけるファイル交換ソフトへの取り締まり強化。この三つの現象は、バラバラに起きていることじゃなくて、一つの趨勢(それが巨大な意志の力、かどうかは別にしても)の三つの表れだ、ということが、ようやくハッキリしてきた。」というのを読んで(部分だけ読んでの反応,失礼かと思いますが,申し訳ありません)。

わたしは,関連のページで,輸入権問題とWinny問題,そしてCCCDの問題はなるべく独立に論じて欲しい…と書いているので,むしろ(貸与権の問題は知りませんでしたが)これらを結び付ける論調が多いと感じてました。なぜ結び付けるのに反対かというと,これらの法案とかやり方とかで,影響を受ける人達が違っており,全員のいいようにはいかないし,法(というより倫理観の方かな?)への抵触の仕方も違うからです。

でも関連してないか?…というとそんなことはなく,もっと大きな問題で,バブルでいろんな会社が傾いて,あと携帯電話とか普及で消費者のお金の使うところが変わったり,デフレだったりで,結局いろんな業種で収益が悪化したという産業の全体構造があります。それから企業が創業者の企業じゃなくて,外からやってきた人が社長をやるようになって,とにかく自分の在任期に株価を上げればいいという考え方が経営陣の関心になって長期的な市場形成なんて興味がなくなってしまって…とかいうのがあって,とにかく「今取れるところで取ろう」っていう発想になってるだけだとおもいます。
いや「だけ」じゃ済まされない問題なんですが…。

つまりCDに関して言えば,どんどん売り上げを下げているCDの収益をなんとかしたいのでしょう。それで,販売方法とか,価格設定とか,いろいろ本当は企業努力するところはあるんでしょうけど,コンテンツに関しては著作権という便利な魔法があったから行使しているんでしょうね。

著作権とは非常に便利な利権で,他の製造利益,販売利益,または税金とかに比べて,「アーティストの権利」とかいうと,購入する人が妙に反発しにくい側面があります。でも,ここで利権をいじろうとしているのはアーティストじゃなくて,流通の権利者なんですが…。もちろん流通と作者の両方がコンテンツの発達には必要なんですが,貸与権はともかくCDに関してはアーティストから発せられたメッセージではなくて,流通企業側がかってに突っ走ってる気がします。

結局,いくら会社が傾こうが,国が傾こうが(最近税金もそういうの多いですが)「取れるところから取ろう」という風潮が非常に強く,そういう意味じゃ,その一環の気がします。でも,産業の発達っていうのは,そういうメインストリームの周辺から新しいものが生まれてくる事によって広がっているわけで,そこを制御しようとするのはかえって悪影響だと,わたしは思います。

ですから,最初のリンクの中にある「オルタナティヴな回路があることが、いかにありがたいかを身にしみて感じる」っていうのはまさにそうなんですよね。

国が傾いてるのはわかるけどさぁー,将来の苗まで刈り取るのはどうかとおもうよ。まぁ株主総会で承認された,やとわれ社長にはそれでいいんでしょうけど…。