現在NHK-BSでゴジラの旧作品を放送してます。第一作の放送はもう半月ほど前になってしまったのですが,録画してだらだらと観てました。
今回はリマスタリングして,フィルムノイズや落丁が修正されたのを主張してましたが,まぁ前のノイズが乗ってたり画面が揺れてるのも味があるんですけどね。
で,第一作,これまで何度もTVとかで放送されてるはずですが,通して観たのはあまり記憶に無かったのではじめてかもしれません。昭和29年。丁度60年前ですが,それより戦後9年でこういういう作品を作ったんだな,というあたりが感慨深いです。
特撮の技術は今とまったくレベルが違うのですが,当時の人が海外の人も含めて驚いたらしいので,最先端だったのでしょう。それより,人間ドラマの部分で,ヒロインが常に力んで喋っているところが突っ込みどころ満載でもあったのですが(笑),それより気になったのが,ゴジラが東京に上陸し,焼き尽くし,焼き出された人々の描写です。親が死んで孤児となった子供が避難所にたくさんいて泣いているシーンとか,今観ると露骨に悲惨で,ちょっと引いてしまいます。おそらくここはゴジラにより東京都民の多くが悲惨な被害を受けたという描写を描きたかったのでしょう。ただ現在の映画やドラマで描く悲惨な状況と描き方が違う様に思いました。
私の親は今80代で,終戦時学生だったくらいの歳ですが,以前聞いたときに,戦後は路上に孤児がたくさんいたという話を聞いたことがあります。今みると,悲惨すぎる描写ですが,当時はこれくらいの描き方をしなければ,むしろリアリティというか共感を得られなかったのかもしれないなと思いました。あと科学者芹沢博士が眼帯をしいるのですが,これも怪しい科学者を演出するというより,案外当時は戦争で障害を追って帰ってきた人とかいたので,そういう人を普通に見ていたのかもしれません。そういえば昔のアニメや映画は戦争が原因かに関わらず障害をもった人が結構多く描かれてました。
要は,リアリティを感じる描写というのは時代や社会背景で大きく変わるんじゃないか?ということです。残酷描写っていうのは,いつもぎりぎりで問題にもなりやすいのですが,それゆえに訴える力を持つか,行過ぎた描写になるか…っていうのは微妙なんだな…と思いました。