間違ってるかもしれないが,第一シリーズ,第二シリーズと続いて,しばらく第三シリーズはないのではないか?ということで,全体通しての感想。
3月のライオンというと,当時連載がヤングアニマルで始まった時に件の雑誌を買っていたので,始まったのは覚えている。羽海野チカ原作で期待も高かったのだけど,私自身が個人的に非常につらい時期で,雑誌をすぐに買わなくなり,それに従い原作もほとんど読まないままであった。おそらくいい作品なんだろう,と思いつつも,それっきりで,それで一昨年NHKでアニメ化,と聞いたときも,きっと良作になるだろうと思いつつも,癖がある作品が好きな自分としてはどうだろう,とも思っていた。
それでスタッフを見たらシャフトということもあり,見始めたのだけど,非常に良い作品だと思った。原作の力を非常に感じるが,加えてシャフトの演出が非常にマッチしていた。川本家のほわーんとした雰囲気と,将棋界を始め,時に起こる非常に陰鬱とした雰囲気の落差が,シャフトの演出もあり,過剰に心に訴えかける。将棋界は,才能のある人たちが実力でぶつかりあい,そして勝ち負けがつく世界だから,様々な人間模様がある。また幼少のころに両親と死別し,他人の家で育った主人公零はその個人的な境遇から,育ての家での人間関係,またそういうことから学校での孤独感など,非常に重いものを背負ってる。一方で,それを和らげる装置として川本家が機能していて,見ていて胃が痛くなる展開をうまく中和していた気がする。
その川本家でも深刻な事態が発生した,終盤は全体的に重くなったのだけど,その頃には逆に零の学校生活に明るいものが見えていて,すこし話を軽くするように機能していた。将棋の世界の話も勝負のきつい話と,個性的な棋士のコミカルな振る舞いなど,重たい話を中和する仕掛けがたくさんあり,全体として,両極端に話を振ることによってバランスを取っていた作品の様に思う。
そういう意味で言うと,今回はひなたの進学という節目で終わったが,幸田家,とくに香子周辺の話は何も片がついてないし,零の棋士としての成長,おそらく宗谷との勝負などは,まだ全然めどが立ってない。この辺は原作の進行を待って,ということになるのだろう。
NHKのアニメらしく,非常に質が高い作品だった。いつか先ほ話が見たい。