たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

青野くんに触りたいから死にたい

雑誌アフタヌーンに2017年から連載していたマンガ。今月最終回だった。初回から読んでいた。もう少し前からやっていたような気もするが、気のせいだろう。
気が弱い高校生の女の子優里が同じ高校の青野くんを好きになり告白する。青野は受け入れてくれて交際が始まるが、その二週間後に青野は死んでしまう。そして優里には幽霊となった青野が見えるようになるって話である。
死んだ恋人が見えるという話は、ゴーストを初め多く存在するが、この話はロマンチックな話ではなくホラーとして描かれるところが特徴だろうか。当初は優里が青野に抱かれるところを想像して自慰好意をするなど、少しえっちなラブコメのように描かれていたが、幽霊の青野はだんだん暴走していき、優里に憑依するようになったり、優里が親や姉からかなり酷い扱いを受けていたり、青野がやはり母親から酷い扱いを受けていたことが明らかになり、青野の呪いみたいな話になり、だんだん街を巻き込んでいくような話になっていく。
青野は幽霊だから何をするかわからない不気味さがあるが、優里も極端な行動にとることが多く、話の向かう方向がわからず緊張感が続いたまま続いた連載だった。
最終回を見て思ったが、この作品で描かれていたのは、愛と犠牲、その渇望と、そしてマウントを取るという行為。それらの話だったのだと気づいた。
私は人の愛を試すことは不毛だと思って、できるだけやらないようにしているが、そもそも子供はやってはいけないことを知るために、やっていけないことをする。そういうふうにして、境界を探していく。でも愛に対しては、その歯止めが効かない人もいるんだろう。青野の母親は不幸な境遇だったが、不幸ゆえに子供達に愛を求めたのだろうか?
ネットの感想をいくつか読んだが、悪人がいない、誰でも被害者にも加害者にもなるというようなことが書いてあった。でもやっぱり小さい子供はいつでも被害者だし、被害者だから大きくなると加害者になるように思った。
優里も青野もそういう子供だった。
青野が生き返ることはなかったが、優里には少しは友達ができたようである。親元からも離れたようで、少しは状況が変わったようで、そこは良かったのかもしれない。優里がこの後も青野のことを引きずるのか、新しい人生を歩むのかはわからない。ただ日常が続くだけ、というふうに終わった。
まぁ、とても重い作品だった。展開にはついていけないところもあったが、しっかり最後まで描いてくれて良かったと思う。