たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

残響のテロル 11話 (最終回)

ナインの予告により原爆は空に浮き,市民は逃げ惑う。柴崎はスフィンクスがこれまで人をほとんど殺してないことから,人が死なない方法を行うと予想。案の定原爆は成層圏で爆発し,東京の電気はシャットダウンする。犯行後,ナンバーズの墓を見舞うナインとツェルブのところに柴崎がたどり着き,ナインは柴崎に自分たちの生い立ちを白日の下にさらすように依頼。その時米軍のヘリが現れ,ツェルブは撃たれ,ナインは原発を爆発すると脅すが,柴崎が約束を守るとつげ,ボタンを押さずに死ぬ…という最終回。
最終回という割には,先週のナインの犯行がそのまま実行され,特に新しい事実はなく,静かに終結をしたという感じだった。結局のところナインの目的は,国に利用される形で生み出された自分たちの事を白日の下にさらし,政界や官僚を断罪することだったようだが,それについては握りつぶされることなく,結果として成功した様子。ただアメリカがこの計画にどう絡んでいたのかは,いまひとつ良くわからなかった。あれだけ執拗に口封じをするってことは,大きくかかわっているはずなんだけど。
そのナインたちの目的のために,これだけの大きなテロ活動をする必要があったのだろうか?,ナインほど頭がいいのであれば,別の方法もあったのではないか?という気もする。それはハイヴの行動もそうなのだけど,目的に対して,とっている行動が過度に過激に思えリアリティが薄くなったのが残念に思えた。例えばナインを捕らえるために,飛行機を空港でターミナルにぶつけるとか,過激すぎるし,その行動で本当に目的が達せられるのだろうか?という気もする。またナインたちが人を殺してないというが,実際は都庁の爆発にせよ,人は死んでいるのではないか?という気がするし,成層圏で原爆爆発させたら,広範囲に死の灰が降るでしょ?普通…と思った。
全体を通しては,とにかく画面も綺麗だし,主人公が美少年二人,それに少女…と耽美な印象を持たせたロマンチックな作品に仕上げようとしている感じがした。だから,ナインたちの行動が,少年や少女のもつ美しい妄想の様な感じもした。
あまり観てないので間違ってるかもしれないけど,アメリカン・ニューシネマの様な,若者の反社会的行動をロマンティックに描く…という様なスタイルに見えたし,冒頭で「太陽を盗んだ男」が引用されたあたりも,あの時代の作品の空気を取り込んでいるのかな?という気がした。そういう意味では,今風というより,古いドラマの世界観を今の技術でアニメに再現したような雰囲気を感じた。個人的には,その辺の作品は私にとっては小中学生の時に,青年向けにやっていた作品で,背伸びして観るような世界だったので,懐かしいというより美化された若者のというくすぐったい感覚を覚えてしまった。
今期,少し異色の作品でしたが,良かったと思います。ありがとうございました。
[追記]リサの存在意義がわからないという意見が多いのですが,男二人ものに対する女性は「おこげ」というか女性視聴者の自己の置き換えのためにいるんじゃないですか?(笑)。あと足手まといになるためにいたように思います。彼女がいなければ,ナインとツェルブの関係はもっと確固足るものであり,スマートに事件を起こせたように思います。ひたすら己の目的に向かうナインとハイヴに対し,現実につながりを持ちたがるツェルブのその現実との橋渡しのためにもいたんでしょうが,もう少し機能させても良かったかな?とは思います。