たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

BLUE GIANT

アニメ映画。映画館で見てきた。
岳を連載していた石塚真一が岳の終了後にジャズの漫画を描いてることは知っていた。ビッグコミックオリジナルは読んでいるが,ビッグコミックは読んでないので,追ってなかった。でもジャズということで気にはなっていた。逆に自分自身がジャズファンなので,いろんな先入観を持って読むことに躊躇もあった。
今回アニメ映画になったが,最初はどうしたものかと思っていたが,ジャズファンの人自体が褒めてるのをブログで読んで見にいくことにした。結果としてとても面白く満足した。いろいろツッコミを入れたくなるのではないか?と心配していたが,あまりそういうこともなかった。
ストーリは高校を卒業した宮本大が仙台から東京に出てきて,高校の同級生玉田の家に居候し,バンド仲間を探す。ライブハウスで見たピアニスト沢辺雪祈を誘い,ライブをやってないジャズバーTake Twoに入り浸りながら二人はチャンスを探す。そのうち玉田が大学のサークルを辞めくすぶってるところ,大と雪祈の演奏をみて一緒にやりたいという。雪祈は最初一笑するが,大の熱意をもあり,認める。そして3人は練習とライブをこなし,少しずつファンを増やしていくって話。
大は,この映画の中では天才として描かれている。音を出しただけで,只者ではないと誰でも思う様なタイプ。まだ18歳であるから,天才だと思うのだけど,ただ映画中でも,とにかく鬼の様な練習量をこなしていることはわかる。最初,大にリアリティを感じるだろうか?と思ったのだけど,実際のところ,アメリカで成功してるジャズミュージシャンは10代とは言わなくても20歳くらいでデビューしている人も多い。そしてそういうタイプは大体天才肌である。なのでありえない話でもない。ただそういう場合,大が出す音に説得力がないと良くない。映画でそういう音を出せるだろうか?が気になった。しかしこの映画では一流のジャズミュージシャンを演奏に起用し,しかも彼らも演技として,演奏をしてることもあり,おそらく大のそういう音を意識して演奏していたのだろう。十分に納得がいくものだった。大の演奏はテクニカルではないが,とにかく音の存在感がある様に吹かれてた。一方で雪祈のピアノはテクニカルであるが,突き抜けたものがない様な印象を受ける様な演奏もあった。演奏するミュージシャンが映画の趣旨を理解し,見事な演技としての演奏をしているのに感心した。まぁ玉田の楽器を始めて1,2ヶ月でライブをするというのには,うーんどうだろう?とは思ったが。まぁでも大学のジャズ研でも楽器始めて半年くらいでライブをする様な人もいるしなぁとか思って見ていた。
雪祈のことは終盤の盛り上がりのための装置なんだろうけど,才能のある人が,ああいう挫折に遭うことはとても残念なので,見ていて辛かった。そうでなくても,プロの音楽の世界は挫折していく人はたくさんいる。一旦成功した人でも事故や病気になり復帰に苦労する人はたくさんいるのだけど,まだブレイク前の若者が,こういう試練を受けるのは,なんて不幸なことだろうと思ってしまう。
映画は演奏シーンがふんだんにあって,多分,3,4回一曲通しで演奏していた。歌のないジャズであるが,一般の人はどうだたんであろう?。普段からジャズを聴き,ライブにもよくいく自分は,まるでライブを見ている様な感覚でとても楽しかった。経験がない人にも,ジャズを聴く醍醐味を少し実感してもらえたら嬉しい。歌のない音楽でもこれだけドラマチックでとてもワクワクするということが伝わっていたらと思う。