青春ブタ野郎シリーズの映画最新作。他の人の感想を聞く前に見ようかと公開週に観にいく。平日の夕方だったが，まぁそんなに客は多くなかった。さてどれくらいヒットするんだろう？
人の感想を聞きたくないと言っていて申し訳ないが，ネタバレで感想を書く。ので，一応区切る
青春ブタ野郎シリーズ，高校生編の最後の作品と銘打たれた本作，その通りらしく，一言で言うと，これまでの後始末。宿題の片付けみたいな作品だった。これまでの作品で，「あれって解決してないよなぁ」というものを片付けるというものだった。なのでスタッフも言ってらしいが，地味といえば地味な作品。ただファンにとっては，しっかりけりをつけてれたという話でもあった。そう言う意味では，これまでの作品を見ないと意味がわからない。
ところでタイトルに持ってるランドセルガール，前作でも予告の様に現れた，舞衣の小学生版は，実は話にはあまり需要ではなく，舞衣であるかどうかもわからないというキャラで，まぁブラフだったかなと思う。てっきり今回は舞衣の話かと思ったら，しっかり咲太の話であった。
あぁ，そうかと思ったが，これまで青豚では，いろんな女の子と問題を咲太が解決していくという話で，咲太自身の問題をメインでは取り扱ってきてない。TVシリーズのエンディングが女の子が海辺を歩いて咲太の元に行く様に，これまでは咲太が他の子を助ける形になっていた。今回はそう言う中で，咲太自身の話だったと言える。
青豚シリーズはTVを見てる時も思ったが，ラノベやエロゲでありがちな，主人公の親が不在であるという問題や，お兄ちゃん大好き妹がベッドに入ってくるという様な，お約束だけど，現実にはあり得ないという問題にしっかりと理由をつけている。まぁそれ以外の彼女がTVに出る様な有名人であるとか，親友の様な女友達がいるとか，後輩に好かれてるとか，都合がいい様な設定は沢山さんあるんだけど，それぞれに経緯は丁寧に描いていると言う点は感心していた。
今回はその中で最初に書いた様な，親不在問題を丁寧に描く話であり，TVシリーズのクライマックスであった，お兄ちゃん大好き妹の顛末の続きでもある。
本来子供が親不在で兄妹で暮らせば苦労は多いはずである。家のことをやったり，妹の面倒を見たり，経済的にも大変かもしれない。ラノベとかでは，親不在をパラダイスの様に描くが，本来では高校生にはきついはずで，そんな中，学校に通い憧れの先輩と同じ大学を目指すのは苦労もあるだろうと思う。そう言うことを当然と思ってやってる咲太は人一倍家族思いで責任感が強い。でも，家族に愚痴も言わず，苦労も明には認めもらえず褒めてもらえないと言うことで，咲太にも辛いものが溜まっていたということである。
結局のところそう言う咲太の苦労をしっかりわかって，受け止めたのが舞衣であるのはお約束だけど，舞衣もこれまでなんども咲太に救われてきたと言うのもあるだろう。ただ，咲太の状況を「大人になった」と説明した舞衣には感心したし，それゆえに，咲太は子供に戻って家族の元に戻ると言う結末ではなく，大人になって舞衣と歩んでいくという結末につながるのだろう。これは家庭を持って一人前，ということまで含んでいる。
子供が大人になること，独り立ちすることを，こう言う風に描いたアニメは珍しい様に思った。なんかもう咲太と舞衣はこのまま結婚するんじゃないか？と思ったが，続きは大学生らしい。
とはいえ，ストーリー的にはあまり意外性があるものではなく，収まるところに収まったという感じだろう。ちゃんと高校に行けるんだろうか？とハラハラ見ていて前作に比べれば，不可思議な体験はあったけど，綺麗に収まったと言える。何もなければ，これでシリーズ終了でも文句も出ない様な終わり方だったが，そこは人気シリーズ，次期作への伏線も仕込んだ話であった。
前作から半年後の映画であったためか，若干作画が粗い感じ，特に波の動きはちょっと，と言う感じであったのが多少残念だが，そう言うところが売りじゃないのはわかってるので，終わってしまえば，どうでもいいことかな，と思った。
次回から大学生編，映画かTVかはわからない。じっくりと待つこととしたい。
