たろぁーるの日記

たろぁーる氏が書いているぶろぐ。主にアニメとかマンガとかテレビの感想と一人言。ネタバレ結構あります。

ファンタジックチルドレン 全体を通して

人は生きていると,どうしても理不尽な目に遭います。どうして自分なこんなに辛いのか?…と。それに対して中東系の一神教が出した答えが「祖先の原罪」であり,インド系の宗教が出した答えが輪廻(前世の罪)です。ちなみに仏教では輪廻から逃れることを「解脱」…と言います。つまり輪廻に縛られる(生まれ変わる)のは辛いことだとされているわけです。
ファンタジックチルドレンはもちろん後者の立場で輪廻がテーマの物語りです。終わってみればこの物語りはティナ,トーマ,そしてべフォールsの解脱の物語りだった様にも思います。過去に転生の物語りはいくつかあったような気がしますが,その手の作品では最終的に過去に帰る(過去を背負う)パターンが多いのに対して,本作品では現世を否定し過去を背負い続けながら21回の転生を繰り返したべフォールsと彼らによって前世を表装化されたヘルガとトーマ達を絡ませることにより最終的に前世を断ち切り「今,ここ」を大事に生きる…いわゆる解脱の物語りだったのが非常に印象的でした。思い返せば13話で,「過去の記憶が戻ったからといって,生まれ代わりの人生が否定されるわけではない…。この作品は意外にそれが大きなテーマなのかも知れない。」とわたしが書いたのは,わたし的には当たっていました。そういう意味では大変深遠な話だったと思います。そしてそういう意味では,ベフォールに遭うまでは現世に生きていたトーマとヘルガよりはそれだけ業を重ねてきたベフォールsの方が解脱のカタルシスが強く,お話の中心になってしまうのは仕方がないのかも知れません。
…まぁそんな小難しいことを言わなくても,大変すばらしい作品でした。まぁでも小難しい作品といえばそうですね(^^;)…。深夜枠で放送するのが疑問でもったいないくらいすばらしい作品でしたが,一方でテーマだけではなく伏線の出し方にしても非常に小出というか説明的なものがはじめの方で全然なかったため,難解な印象を受けます。そういう意味でいうと深夜枠であることを前提に大人向けに作った感もなきにしもあらずですが…。いずれにせよ録画している人は一度頭から観ることをお勧めします。
以下…ちょっと終わり方に関してぶつぶついうと…。彼らは解脱をして,過去の記憶を無くすという道を選びましたが,過去の記憶はともかくトーマとしてヘルガとしてデュマと戦った記憶が無くなるのかはちょっと疑問です。ベフォールsもそうじゃないのかなぁ…という気もしますが,彼らはレコードによって無理やり記憶を再インストールしてるため,その時の記憶はなくなるのでしょうか?…。でもそれじゃ幼少の時の記憶を持たないマイア状態になる気がするのですが…。でもルーゲンはしっかり忘れてましたけど…。わたし的には「なにか過去の因果のせいで戦いに巻き込まれていた」くらいの記憶は残ってないのかなぁ…とか思ったりします。トーマとチットのいずれともヘルガがくっつかなかったのは,まぁ11歳だしそれもいいかな?と(笑)。アレからの人生いろいろあっただろうし。ヘルガが最後にソランの生まれ変わりであろう男性を観て頬を赤らめたのは単に「イケメン」だったからということにしておきます,わたし的には(笑)。じゃないとまだ過去を引き摺っていることになるし。いや「現世でソランを待つ」って言った時点でヘルガは解脱してないのですけどね(^^;)…。